耐震診断

GW前にやった耐震検査の結果がようやく今頃来た。係りの人が今年見た中でも3本の指と言うだけあってかなりの好成績であった。と言うのもほとんど設計図面どおりに大工さんが筋交いを入れてくれていたからである。これはずいぶん珍しいこと!らしい。そもそもその大工さんの名前が図面にない。建て売りの常なのだろうが、つくったのは設計事務所や建築会社の下請けの名もない生産者なのだ。だから手抜きも当然、が常識なのだろう。名前があったら感謝したいところだ。私がつくりました、は、野菜だけじゃなくて家こそいれるべきだろう、元請けの建築会社なんか何も見てないし、このご時世すぐつぶれちゃったりするんだから。大工さんの腕と仕事振りとは一生付き合いたいものである。そういう大工さんをひとりひとりちゃんと組織して、水ぶくれではない買った値段分の中身のある家を売りたいと思ったものだった(・・・遠い目)。
なんと剛心と重心(近いほどゆれが少なく倒壊せずにすむ)が27センチしか離れていない。これはとてもよいといっていた見本がもう少し小さい家で47センチだったから、まあ推して知るべし、地震が来てもこの家にいれば死なないですむ。
90年施工バブル最中の建物であるが、家具もみな作りつけなので、倒れることもない。
70枚近い写真と、図面や計算書がいくつもついた診断書。苦労だけど、ただでやってもらった。ここまで褒められて、さらに万全を期すならば、と柱固定に150万円の見積もりを見せられても、「これが10万円になっても出す気はありません」
柱の固定の工事のために外壁のレンガを取ってまた復帰するのに手間がかかり80万くらいかかると言うばかげた話である。このただでやってもらった本格的診断書は、10万くらいは少なくとも値段を付けられるのではないかと思う。4日も人手を出している。5人工で、図面を書くのにかなりの時間と、開発した数式や形式を使っている。しかもこのひとおじさんだ。専門職だし。この手間っていう人件費の考え方が、私にはそもそも不合理に見えた。来てもらうだけで○万円とかかかる。専門知識があるから、というより家族賃金から割り出すからだ。何でおじさんに来てもらうだけなのに、その人の専業主婦の分まで私が払わなきゃいかんの?でもそれが手間代の算出基準なの。女が来ると比較的安いわけですよ。同じことしても(そうやってうまく女性を営業に使っている工務店があった)。わかりやすい。人件費がどういうことになっているか。大工の工事の手間も同じ。生活給的。高いのは仕事の価値ではなく妻を養うから。労働集約型のこの産業、夫婦で働くようになれば、国際比較では破格に高い日本の家の価格は半分になるんじゃないかと言うのが、私のすごく乱暴な仮説(元請下請け構造ももちろん大きいが)。
ともあれでもこれだけ工事の説得力がある調査書があれば、100万円以上の工事が取れるだろう。もっと老朽化していてリフォーム込みなら1000万以上の工事も受注可能。営業としてはなかなかうまいやり方かもしれない。消費者啓蒙にもなるし。
ただなのにやたら丁寧に説明するなあと思っていたけど、受注目的の営業なら納得だ。こっちは話を早くしようと思って、先取りして言ってあげてるのに。こういうのに気がつかないものかしら。普通の主婦じゃないのわかるでしょうに。半分プロなのに。
いろいろ勉強になった。この資料、家を売るとき有利に働くだろう。むこうもまたこのデータをお客に見せて、耐震の水準を上げるのに活用するのだろうから、お互い様だ。
所有者によれば売る気はないらしいけど。